−水俣支部−一九期 橋本 三郎

 師走のいそがしい毎日、その日は朝から、すごく風が強かった。いやな予感がしていた。配達の途中、森川さん(一二期)の車とすれちがった。店に帰ると、兄(道雄、一三期)と話していた森川先輩が、イヤにニコニコして俺の方に近づいて来た。当った。だからこうして今、書いているのである……。
 二年前に、水俣に帰って、兄と一緒に酒屋(コンビニ)をやっている。静かな、ジミな生活をおくるつもりで帰って来たのに、一週間で、その生活は終わった。「真和同窓会水俣支部」のせいである。兄には、当日は前から欠席だと伝えてあった。そこへ、中学校時から一番仲のよかった後輩吉富君(鍛えた後輩、知る人は笑わない様に。)から、電話があって、行くはめに。
 「三郎さん行くんでしょ。え〜っ、行かないんですか?行きましょうよ!だいじょうぶ、結構盛り上がりますよ。行きましょうよ!行かないんなら、俺も出席をやめますよ。」だまされた。確かに、会は盛り上がり、一次会も終わって二次会、カラオケだ。
 「次、YMCA、はいりま〜す。」スナックのお姉ちゃんの鼻にかかった声と同時に、下っぱ後輩(俺と吉富しかいない)が立ち上がり、歌うでしょう、おどるでしょう、バカやるしかないでしょう、これが真和の飲み会でしょう。(学生時代以来、こんなハイテンションな飲み方をしたので、すごく恥かしかった。もう一方の彼は、昔も今もずっとこのノリらしい。)
 そして今、吉富と飲む時は、あいかわらず「本陣」や「道場」の時代にもどって、ガキの様にはしゃいでしまい、大人の飲み方ができないまま、俺の望んだ生活とは逆の方に流れて行くのであります。
 宮島さん(一五期)には怒られて、森川さんには、あきれられ、後輩吉富には、バカにされ、水俣の夜はふけて行きます。アーアー。